第60章

田中隼人は、最近どうにもツキがないと思っていた。大島莉理を手に入れ損ねたのはまだしも、日々の暮らしまでことごとく邪魔が入る。

仕事でミスをして、爺さんにこってり絞られた。

飲みに出れば偽物の酒を掴まされ、病院送り寸前。

それでも外で遊び慣れた身が、酒を断てるはずもない。友人から誘いが来れば、たとえ真夜中でも出ていく。

ところが車を走らせている途中、急にエンジンが止まった。

「ふざけんな……!」

隼人は苛立ちままに車体をどん、と蹴りつける。

「お前まで俺に逆らうのかよ!」

背後から近づく気配に、気づきもしない。

異変を感じたときには遅かった。後頭部に鈍い衝撃が走り、視界がぐら...

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